

対談
野辺地に住んでよかった!
豊かな自然とあたたかい人に囲まれた野辺地の暮らし
豊かな自然と、あたたかい人たち、そして昔から変わらぬ空気感が残る野辺地町。
地元に戻ってきた板橋諒さんと、結婚を機に仙台から移住してきた板橋朋代さんが経営する自遊木民族珈琲に、野辺地町について真剣に考えるメンバーが集合し、存分に語りあっていただきました。

対談者紹介
※写真の左から順にご紹介いたします
板橋朋代さん
宮城県仙台市出身。諒さんの大学時代の同級生で現在はご夫婦。大学卒業後は関東の病院でリハビリ関係の仕事に就いていました。諒さんが野辺地町に戻るタイミングで一緒に野辺地町に移住してきました。
板橋諒さん
野辺地町出身。大学を卒業後にコーヒー関連の会社に就職し一度野辺地町を離れましたが、10年ほど前に野辺地に戻って自遊木民族珈琲をオープンしました。
木村卓磨さん
野辺地町役場職員で隣町の東北町出身。大学進学を機に上京し、教職に就いた後に野辺地町へ移住しました。移住者と役場職員の両方の視点からのご意見をいただきました。
横井さくらさん
大阪府大阪市出身。地域おこし協力隊として令和3年4月に野辺地町に移住しました。現在はホタッピー商店を創業し、任期終了後も野辺地町に残って魅力を発信していく予定です。
THEME1 野辺地のいいところ
まずは緊張をほぐすため、野辺地町のいいところについて語り合っていただきました。豊かな自然はもちろん、その自然が生んだあの特産品まで…。野辺地に住んでいるからこそ見えてくる魅力を余すことなくお届けします!
野辺地町だけの自然の魅力

諒さん
それじゃあ、遠くから来た人から…
横井さん
私は野辺地町の星空が好きです。大阪ではこんなにはっきり星空は見えなかったので、初めて見た時はその綺麗さにすごく感動しました。
朋代さん
私は仙台から来たんですけど、春、雪解けした後に「ぐわあ」って、ふきのとうが出てきた景色が衝撃的で、すごく感動しました。春が来た!みたいな感じで季節の変わり目がはっきりわかるっていうのをあまり見たことなかったので、すごく素敵だなと思いました。
木村さん
やっぱり雪国なので、雪の匂いって結構違うなって感じるんです。都会の方に行ってると忘れてしまうんですけど、地元に戻ってみると雪が降る日は雪の匂いがすごくするなと思って。それがすごく懐かしいというか、いい匂いっていうか。それは都会とかにはない、いいところなのかなって。
諒さん
僕が今入ってる山に海が見えるところがあるんですけど。しかも冬じゃないとなかなか海が見えないんですよ。葉っぱが落ちないと。山の中に行って陸奥湾を眺めるっていう誰も知らない贅沢な景色をみています。
木村さん
へえー、いいなあ。確かに山から海が見えるっていいですよね!
諒さん
野辺地には山があって、平野があって、海があって。いいところのエッセンスがぎゅっとして、全部味わえますね。
野辺地町のホタテあるある
諒さん
野辺地町あるあるは、生まれも育ちも野辺地の私はたくさんあるんですけど…ホタテもらいあるある!そして奥様方がだいたい不機嫌になるあるある。
朋代さん
ちょっとじゃないですもんね。バケツにどーんって感じで…
木村さん
こんなにもらってきて!ってね(笑)

横井さん
初めて野辺地町のホタテを食べた時は、美味しすぎてびっくりしました!ここに来る前はホタテといえば北海道のイメージが強かったんです。しかも野辺地ではベビーホタテをよく食べるっていうのは知らなくて。
食べてみたら、小さいけど味が濃厚で「こんなに美味しいの?」ってびっくりしました。食べ方は、漁師さんに教えてもらった、海からあげたホタテをそのまま蒸したものが好きです。何も味付けをしなくても塩味がついていて、それだけですごく美味しいので大好きです。
木村さん
僕はやっぱり刺身ですね。切り方で全然食感が違いますし、筋肉質っていうか、他産地のホタテよりぷりぷりしてますよね。改めて食べてみると、やっぱり刺身がうまいですよね。
朋代さん
私もお刺身を最初に食べた時はびっくりしました。「こんなに美味しいの?」って。ホタテ貝がぱかって開いた、あの厚さって見たことなかったです。
諒さん
基本的に切れているというか、スライスされてるもんね。僕もお刺身が一番美味しい食べ方だと思うんですよ。貰い物のホタテを実家で食べる時ってとりあえず初日は刺身じゃないですか。それで余ったのは2日目にフライになって出てくるんですけど…。それももちろん美味しいんですけど、刺身の美味しさを知ってる分かな…。やっぱりフライより刺身でしょうって。
野辺地の人はみんな思ってるはずですよ。日を置くよりも、その日のうちに食べるほうがやっぱ美味しいじゃないですか。それは野辺地に住まないとできないことですよね!
横井さん
よくもらってくるのはカニもありますよね?あとタイとかカレイとか。でも、もらっても調理方法がわからなくて、凄く困りました。そもそも捌いたこともないし…。やってみたらもう大変なことになって、家中うろこだらけで(笑)
結局、近所の食堂に持って行って、お父さんとお母さんに教えていただきました。
THEME2 移住後に直面した困ったこと
野辺地町はいいところもたくさんありますが、実際に住んでみるとちょっとした試練も…。住人の皆さんはどのようにして試練を乗り越え、野辺地町に馴染んだのか。移住をお考えの方は参考にしてください。
ホタテの貝殻の行き先は?
木村さん
ホタテといえば、ホタテの貝殻って捨てるのに困りませんか?何ごみ?って…
(一同一瞬沈黙)
諒さん
それを役場の人が言ったらまずいのでは…(笑)
木村さん
初めて来た時ですよ!(笑)初めて来た時は凄く悩んだんです。これ燃えるのかな?って。(実際は洗浄後に可燃ゴミとして捨てることができます。)

朋代さん
うちは薪ストーブの中に入れるんです。最初は燃えないんですけど、3日ぐらいするとすごく綺麗な白い灰になります。ホタテパウダーって強アルカリ性だから、汚れを落とすのに使えるんです。灰が混じるから100%ではないけど、それを自分でストーブで作ってた時はありますよ。お掃除に使えます。
貝殻って本来は産廃扱いじゃないですか。最近だと津軽の方でもホタテパウダーにして売ってますけど、昔は関東の人がわざわざ陸奥湾のホタテの産廃の貝殻を買って、また関東に持って行って販売していたので、私は凄く可能性があると思ってるんですよね。
諒さん
一攫千金できるかもしれないですよ。稚貝もらって、貝燃やして…
ゴミがお金に変わったら、いいじゃないですか。
やっぱり高い方言の壁
横井さん
言葉はだいぶ慣れてきたんですけど最初はわからなかったです。何回も「もう1回言ってもらえますか?」って。何回も聞いて覚えたり。あとは方言ばかり載っている本をめっちゃ愛読してました。
朋代さん
でもその本の文字と、実際の発音って全然違いますよね?

横井さん
違いますね。しかも、例えば漁師さんと農家さんとでは発音が全然違ったりしますよね?いまだに農家さんのちょっと高齢の方には何回も聞き直して、「あんたとしゃべるの嫌よ」とか言われて(笑)
木村さん
僕はわからなくてもなかなか聞き返せませんでした。3割ぐらいだったら、なんとか文脈でごまかすみたいな。そんな感じで笑ってる時もあるんですよね。実は意外とそれで行けますよ。そして、ちょっと言葉が荒くないですか?
朋代さん
最初怒られてるのかと思ったこともありました。
木村さん
そう、それはちょっとグサってくることありますよね。でもそれは野辺地の人たちにとって普通の言葉なんですよね。
諒さん
年齢によって方言のレベル差はありますよね。親戚のおばちゃんとかが喋ってる時は聞き取れますけど、いざ同じように喋ってと言われたら無理です。あのトーンでは喋れませんよね。
あとは、高校時代とか就職活動とかで東京とか行ったりするじゃないですか。標準語のつもりが、話してるだけで「どこから来たんですか?」って言われるんですよ。普通に喋ってるつもりですけど、隠せないんですよ。訛ってるって自分たちでは思わないもんね?
朋代さん
大体みんな、「どこから来たんですか?」ってすぐにバレますね(笑)
意外と楽しめる?雪との生活
朋代さん
雪道の運転は全然慣れないですね。公共の交通機関ってなかなかないから、どうしても冬道を運転しなきゃいけないのが、いまだに慣れないです。できれば運転したくないなって思ってます。
諒さん
うちは昔の家なりの苦労があって、雪かきはその日にした方がいいです。屋根から落ちてくる雪が押し固められちゃって、それを放置してると溶けて、また凍って、スコップが全然入っていかなくなるんですよ。それが積もり積もって、庭の屋根が埋まっちゃって。コツコツやってたら氷の破片でガラスが割れちゃったこともありました。
あとは…朝起きて雪かきしなきゃいけないかっていうので、テンションが上がったり下がったりするんですよね。

木村さん
(しみじみと)そうですね…。カーテン開けて、やんなきゃなあって。雪とはうまく付き合っていくしかないですよね。
でも、昔に比べたら少ないですよね。令和5年度とかは凄く少なかったので楽でしたね。やっぱり毎年だんだん少なくなってきてますよね。山には降ってほしいですけど、平地には降らないでほしい。でも今は結構そういう感じなのかな?
諒さん
小学校の時とかスキーをはいて学校に行ってましたよ。持っていくのが面倒くさいから。
横井さん
滑っていくんですか。ええー!
諒さん
学校に着くのが早いですよ(笑)。
だから、雪がないよりはあった方が色々楽しめるんですけどね。
THEME3 野辺地町でのお仕事
コーヒー店、地域おこし協力隊、町役場職員と今回集まったメンバーのお仕事はさまざま。野辺地町での仕事で得た成功体験についてお話しいただきました。
横井さん
私は町のものを外に知って欲しくて発信したいって思って商品開発をしたりしてしてるんですけど、外の方に向けて発信した時に、「野辺地町ってそんな面白そうな町なんだ!」とか「そんなに面白い漁師さんがいるんだ!」とか「農家さんってすごいね!」とか言ってもらうとすごく嬉しくて、もっと野辺地町を紹介したいって思ってます。
木村さん
そういうリアクションなんですね。食いつきがいいのは人に対してなんですか?

横井さん
そうですね。めっちゃウケが良くて、こんな面白い人たちがいるんだよ!って話をしています。すごく個性的っていうか、農家さんとか漁師さんとかも面白いし。
仕事は一次産業がすごく多いじゃないですか。私は海とか山とか、一次産業が身近になかったので「こんな豪雪地帯で毎日寒い中出かけて作業してるんだよ!」ってみんなに話すと、「そんなすごいことしてる人がそんな面白い人なんだ!」って。それが伝わると嬉しいですね。雪国で生活している方、仕事している方を凄く尊敬してますね。
木村さん
外から見ると全然印象が違うんですね。当たり前に感じてるけど意外と違うんですね。
僕は本当の出身地ではないので(東北町出身)、馴染みはあるけど、人との関わりはほとんどなくて。役場で働いていて、やっぱり役場ってこう色んな人と出会うチャンスが結構多い方なのかなって感じます。コミュニティには入りやすいので、移住して役場職員になるっていうのはおすすめですね。
朋代さん
私はすごく小さな成功の話になっちゃうんですけど、例えば今日食べていただいている豆花(トウファ)に乗せている原料は、うちの畑で私が育てたんですよ。それを目当てに町外から来た人の「ここの豆花は美味しいって聞いたんです」というお話を聞くと、私がここの場所に住んでないと作れない味だと感じます。それを褒めてくれるっていうのが小さな成功かなって、たまに思いますね。
普段は野辺地には来たことないけど、うちがあるからってわざわざ来てくれるみたいなことってなかなかないじゃないですか。ここでやってる意味があったんだと実感することは時々あるんですよね。
諒さん
田舎の良さってそういうところにあるかもしれないですけど、普段は人の出入りって都市部と比べて圧倒的に少ないじゃないですか。だからこそ田舎の人って優しいと思うんですよ。
移住も含めてですけど、色々方法や手段とか変えてやっていかなきゃ。住んでる僕らが楽しく生きれるかって結構重要ですよね。一人二人でもね?自分がやったことで来てくれるって人が来たらなんか成功じゃないですか。
横井さん
友達も結構来てくれるようになって、ちょっと距離が遠いので最初は移住に否定的だった親も、何回も遊びに来てくれるようになりました。自分が作った商品を説明して、こんな人が作ってて、こんな材料を使ってるとか、一生懸命育ててるとか説明してたら、気に入ってくれたりして。そういうのがすごく嬉しいです。
THEME4 野辺地町の課題
続いてのテーマは野辺地町が抱える課題について。日本全国の地方が抱える少子高齢化問題は野辺地町も例外ではありません。その他にも野辺地町ならではの課題も…。これから住民が取り組むべき課題についてお話しいただきました。
問題に取り組みやすいように町民が話せる空間を
諒さん
少子化とか、中心商店街の空洞化とかはもう野辺地に限った話ではないので、それを覆すって結構大変なことですよね。それよりもこういう機会をもっと増やしてほしいですね。普段町民同士で話そうって言ってもね、いきなり「飲みましょう!」みたいなのってハードル高いですよね。だから、それをつなぐような企画がもしあればいいなと思うんですよ。
それこそ、あの手料理一品持ち寄りでとか。みんな友達になった方がもっと色々と取り組みやすいんじゃないですかね。その機会作りは僕たち主導でやっても別にいいんですけど…。

木村さん
そういうのを町主導でやるっていうのをやっている自治体もあると思うんですけど、それを自主的に最終的に、町の人たちがこう最後は動かしていくっていうのもいい形なのかなと思いますね。もちろんきっかけ作りは町の方でやっていいと思うんですけど。
諒さん
場所の確保も大事ですよね。例えばうちの近くの小学校が廃校になっちゃったじゃないですか。そういったところを使うのはいいなと思います。もともと小さな集落なんで、そういうところで集まれるような公民館じゃないポジションの何かができた方がいいと思うんですよ。やっぱり僕ら世代は公民館で集まろうとか、ビール飲みましょうってなかなかならないじゃないですか。
木村さん
そういうところを聞くともうちょっと馴染みがあるような、何かが欲しいですね。そうですね。なんか公民館じゃなくて…
諒さん
廃校とかが近くにあるっていうのは、こういった面では強みにはなれそうじゃないですか。昔みたいに「うちでご飯を食べて行ってよ」みたいなのは無くなってますけど、うちは「ばあちゃんちだけど飲んでいってよ」って昔の田舎スタイルでやってますけどね。
大きな不便はないけど…
横井さん
私は生活の不便さを全く感じなくて。近くにドラッグストアもあるし、1つだけちょっといやだなって思うのが、ネットショッピングで買った荷物の配達にかかる日数です。
大阪だったら、最短でその日に届いたり、遅くても翌日配送なんですけど。
私が送りたい荷物も、大阪までは2日かかります。配送のことがちょっと嫌だなって。

木村さん
急ぎで欲しい時は不便かもしれませんけど、逆に今はネットがあるから都会じゃなきゃ買えないようなものはあまりないなっていうイメージがあるかも。
朋代さん
どうしても買えない必需品みたいなものってそんなにないですよね。
普通に生活する分には困ることがないような気がしますね。
私は医療機関が課題だと思います。こどもが生まれる時に産婦人科と小児科がないので私は青森まで行ってました。こどもが風邪を引いたときも、毎回1時間かけて通院しなければいけません。ここについてはなんとかならないかなって思います。
町の方でも通院にかかる交通費を支給してくれたりとか、サポートがありますけど、やっぱり絶対的な距離があるから、そこがなんとかなったら、もうちょっと子育てしやすいのになって思うことはありますね。
木村さん
子育てのしやすさについては切実ですよね…
THEME5 移住を考える方へのアドバイス・メッセージ
最後に、野辺地町に移住をお考えの方にアドバイス・メッセージをいただきました。実際に野辺地町で生活している人、移住の経験がある人の貴重なアドバイスです。
横井さん
アドバイスはあります。
諒さん
風呂道具だけはいつも車に積んでおくとか?
横井さん
それはもうもちろん積んでますね(笑)
あとは怖がらずに来て欲しいってことですね。私は雪国で生活したこともないし、初めてのことばかりだったんですけど、周りの人が助けてくれたり教えてくれたりしてなんとかなりました。そんなに怖がらずに1回来てみたら、意外となんとかなると思います。そんなに考えすぎずに来て欲しいですね。

朋代さん
私は何か仕事以外の趣味とか楽しみを自然の中で見つけられたら、もっと楽しめるよって伝えたいです。海でもいいし、山とかね。雪の季節はスノーボードとか。田舎ならではの楽しみを見つけられます。私はサーフィンが好きでよく日本海や太平洋にも行くんですけど、仕事じゃない時間にこの地域の自然の中の楽しみを見つけられれば、きっと生活自体が凄く楽しくなると思っています。
木村さん
基本的に来てくれる人に対してはすごくウェルカムというか、本当にありがたいっていう気持ちを持ってる人が多いと思うので、ぜひ移住して来たら怖がらずにとにかく声をかけてもらえば、みんな助けてくれると思います。まずちょっと気軽に来てもらいたいなと。
諒さん
願わくばですけど、まだ野辺地には人がバンバン増えるような空気感ってないので、まずは生活を楽しみたいとか、田舎暮らししたいとか、そういうポジティブな気持ちで来る人に来てもらいたいなって思っています。
2つ目は半分冗談ですけど、まず野辺地町に来たらうちに立ち寄ってほしいです(笑)。色々手伝ってほしいこともあるし。そうやってみんなが集まって話せるような店にしたいので。
木村さん
うん。町民の皆さんが繋がれますもんね。
全国の市町村が少子高齢化をはじめとするさまざまな問題に悩まされている昨今、野辺地町には自分の町を大切に思い、どうにかしようという人たちがいます。野辺地町での暮らしを満喫する人たちが発信する、野辺地町にしかない魅力をぜひ移住の参考にしてください。